日本人の腸内細菌が炭水化物に特化しているという情報のほとんどが、その意味を勘違いして発信されている。




おはようございます。リンさんです。

専門家でなければ本質を理解できないなんて時代は終わり、専門家と名乗れる権利を持たずともスペシャリストになれる知識を容易に手に入れられる時代になりました。特徴的な事は、専門館である故に見落としてしまう事実を素人のスペシャリストが簡単に見抜いてしまうような事例で枚挙に暇がありません。

専門家が最も勉強不足になっている。分野の別を問わずにそんな時代が訪れつつあります。

日本人の腸内細菌は炭水化物を消化する事に優れているという論調で糖質制限を批判する事は「惜しい」

ラットを使って食事法の継続によって起こる結果を研究したら糖質制限は老化を促すものだった、という発表に対して反論する記事の時もそうでしたが、糖質制限は何やら批判の的になってしまっています。肉ばっかり食うってイメージが先行してしまいジャンクフードの食事か何かと勘違いしているのかもしれません。

そうじゃないとすれば結論ありきの研究だったとかですかね。糖質制限老化説を発表したヒトは農学研究科の准教授さんだそうですから。まあ邪推はどうでもいいですね。

何はともあれ糖質制限は専門家という立場のヒトから批判の的です。特に有名な批判が、日本人の腸内細菌は炭水化物の消化に特化しているから、糖質制限は日本人の体質に合っていないっていうものじゃないでしょうか。

これって実は非常にウマイやり方です。糖質制限は誕生して間もない為、継続して取組む人数が少なく10年以上行った際に大体どんな結果となるかという、万人に適用できる未来予想図がありません。そこで糖質制限が優秀な食事法であるという根拠に海外の糖尿病治療の現場では選択肢の1つとして糖質制限は期間の制限無く認知され始めているという事実を使っています。

海外で認知されているけど、日本人は他と違って和食を食習慣にしたりして特殊ですよね? だから糖質制限がそのまま日本人に適用できると思っていると危険ですよと言っているわけです。

これを言われると「なるほど。確かに日本人ならではの特徴があるから、そこは大事だな」と思うわけですが現生人類ホモ・サピエンスが誕生して20万年。日本人全員があまねく米を食べられるようになったのがせいぜい戦後の話です。

ここから「日本人の腸内細菌は炭水化物の消化に特化しているから糖質制限は日本人の体質に合っていない説」の矛盾点を考察していきます。

①専門化が糖質制限と定義している食事がまず糖質制限ではない

こういった研究の際に対象とされる糖質制限とは1日2,000kcalの総摂取カロリーのうち、糖質摂取量を60%→40%に低下させた食事の事である場合が多く、1日の総糖質量は800kcal、つまり200gとなります。そしてこの60%→40%に糖質を低減したカロリー400kcalを脂質に置き換えます。

この1日の糖質摂取量が200gというのは有り得ないほど大量の糖質を普段から摂取しているアメリカ人とかなら多少は効果があると思います。ですが、日本人が提唱している糖質制限というと最も手軽なものが山田悟先生の提唱するロカボです。ロカボの1日の糖質摂取量目安は1食20g~40gで間食に10g、併せて1日70g~120gというものです。

糖質制限を批判する研究の糖質摂取量に比べ80g~130gもの乖離があります。1日200gの糖質摂取量という食事は世界的に有名なハンバーガーチェーンの名前を関するビッグなアレを1日に4個+セットのオレンジジュースかコーラを飲んでいるような食事の糖質摂取量です。

それだけ聞けば身体に悪そうだなと思う食事ではないでしょうか。しかもそんな食事よりもカロリーは圧倒的に低いのに糖質摂取量が1日300gを越えているのが米を食べる和食なんです。

糖質制限を批判するのに、まず研究対象の食事が糖質制限と呼べないというのは考え物です。もしこれに対する反論に「海外での糖質制限はこれが基本だ」と言うのであれば、自分たちの言う日本人の特殊性とやらを考慮していないと言っているようなものなんですね。

批判や議論などは同じ土俵に立って行わなくてはいけないものです。圧倒的な優位であったり、反論されない場所から言葉を発しているのは科学者としては如何なものかと言わざるを得ません。

②日本人が消化に特化しているのは穀物や海藻に含まれている炭水化物内の食物繊維である点

日本人の腸内細菌は炭水化物を消化する事に特化しているから、糖質制限は日本人の体質に合わない。

まずこの言葉に違和感を感じたヒトはどれだけいるでしょうか。この文の巧妙な言い回しは「炭水化物」と言っている点です。この文を正しい言葉に置き換えてみるとこうなります。

日本人の腸内細菌は雑穀や海藻などに含まれる食物繊維を消化する事に特化しているので、糖質制限は日本人の体質に合わない、となります。

知っての通り腸内細菌のエネルギー源は食物繊維です。そして日本人は雑穀や海藻から食物繊維を摂取し続けてきた為に、その食物繊維を消化するために必要な酵素を出せる腸内細菌が存在しているのも事実です。

ですがこの事実が「糖質制限が身体に合わない」というのは暴論です。糖質制限でも糖質含有量の少ない食物繊維を多く含む食材を食べればそれでいいからです。

現代のコメ食は基本的に白米ですから、この研究は味方になりません。しかも雑穀は食物繊維が白米の数倍とか言われていますが、これは白米がほぼほぼゼロに近い食物繊維しか含有していないからです。

つまり糖質制限では日本人が食物繊維を消化することに特化している穀物や海藻のうち、糖質含有量の多い雑穀や昆布などを避け、それ以外の海藻を積極的に食べるべきであるという結論を出す事が出来ます。

腸内細菌が消化するものは確かに炭水化物がメインです。しかしそれだけで腸内細菌が糖質の消化に特化していると考えるのは非常にナンセンスな話であって、より消化しにくく腸内細菌そのもののエネルギーとなる食物繊維の消化に特化していると考えた方が自然です。

③米離れが起こって糖質摂取量が減り糖尿病が増えたのは代わりにパンやお菓子やジャンクフードを食べるようになったから

若者に米離れが起き、日本人の米からの糖質摂取量は1日平均15gほど低下している。糖質制限が流行している事が起因しているが、糖尿病が減っていない事実から考えると糖質制限での糖尿病発症の予防には懐疑的であるべきだ。

このような文章を読んだ時、どう思うでしょうか? この発表の大きな間違いは、米からの糖質摂取量が減っている事そのものが糖尿病発症と関係ないと結論付けている点です。

全体の米からの糖質摂取量が平均15g低下しているのだとすれば、糖質制限を実践しているヒトの平均摂取量はそれより更に低下しています。欧米の糖質制限を基準にするのではなく、山田悟先生のロカボ江部康二先生の糖質制限を参考にするからです。

では米離れが進んでいるのに糖質摂取量の平均がそれほど低下しない原因は何なのか? 簡単な話です。

米以外の炭水化物やお菓子、ジャンクフード、ジュースなどの摂取量が増えているからです。スーパーで買い物していると当たり前のようにお菓子をねだる子どもがいてお母さんが「いつもそれでご飯食べられなくなるでしょ」とか叱っている光景を目にします。

ああいった日常が年代の別を問わずに日本で増えているという事です。白米はそれだけでは味がほとんど無いものですから、刺激的な味に慣れてしまうとやはり離れていってしまうものなんでしょうね。

この論調も暴論じゃないかと思う方もいると思います。ですが「米を食べなくなったから糖尿病が増えているんだぞ」と言っているヒトよりは信用してもらえると思うんですけどね。

④そもそも炭水化物に特化しているというなら欧米人の方が特化している

日本人は古来より米を主食にしてきた。この論調は主食を白米と仮定した時、白米を日本人全員が食べられるようになったのは戦後であるという結論から崩壊します。では雑穀であると仮定して遡るとどうなるでしょうか?

日本人全員が雑穀を食べられるようになった時代の特定は困難ですから、ここは農耕の始まった弥生時代が最初だと仮定します。時代考証の幅はありますが、今からおおよそ3千年前くらいです。

日本人全員が雑穀を食べていたというのは言いすぎですが農耕がその頃始まったのは事実です。ですから日本人は雑穀を3千年間食べ続けているから米に特化していると言われています。

食事の継続年数=最もその種族に合った食事法であるという点から考えた狩猟採集時代の考証で、日本人は米に特化している説は完膚なきまでに否定しましたが、今回は視点を変えて考察してみようと思います。

実はこの時代、日本人が農作業に精を出してようやく収穫を始めた穀物生産に大成功している地域がありました。それがローマです。ローマは支配領域を拡大し高度な文化を築き上げ、経済を作り上げていたからです。

日本では弥生時代であるこの時代にローマにはパン屋が存在していた事が分かっています。これは穀物が商売として普及し多くのローマ人が日常的にパンを食べられたという事です。つまり日常の食事として浸透していたという事です。

パンは小麦だから米とは異なる。米は素晴らしいもので日本人は米に特化しているんだという話も聞きますが、それって単なる宗教ですよね。

米と小麦に大きな違いはありません。どちらも植物で穀物です。小麦にはグルテンが含まれているしアレルギーになってしまうんだと言うかもしれませんが、まだ発見されていないだけで米にだってアレルギーがあるかもしれませんよね。

全ての植物は生存戦略の為にドクを持つのですから。

更に穀物は食材の段階では糖質の分類は異なりますが、体内で使われる際は全てブドウ糖に代謝反応で変換されます。穀物に含まれる糖質がどんな種類であっても最終的に人体にはブドウ糖として使われる事に変わりないので、米と小麦は違うという話は科学的ではありません

農作物の生産は始まっていたけど一般人が日常的に米を食べていたかどうか分からない弥生時代と、日常的に小麦のパンが食べられていた事を物語る証拠の出ているローマ人を、穀物摂取期間が長いほど穀物の消化機能が最適化されているという説に当てはめるとどうでしょう。

どう考えてもローマ人の方が穀物に適応していますよね。つまり穀物に含まれる糖質の処理をうまく行えるように大幅に太れる能力を持ったのが欧米人、未だ途中の段階でそれほど太れる能力の無い日本人という結論を出せます。

糖質を食べても太らない事がさも素晴らしい事のように言われていますが、糖質をたくさん摂っても太れないのは生物学的に適応できていないという方が正しく日本人の現状を伝えている言葉です。

まとめます

日本人の腸内細菌は炭水化物の消化に特化しているので、糖質制限は日本人には合わないという論調の矛盾点を指摘しました。前半の前提条件は正しいのに、後半の結論が矛盾している典型的な例です。

中身を掘り下げていけば、糖質制限の定義がおかしかったり、それ以外の認識も甘いものが多いので、結論ありきの文章なのではないかと思ってしまうほどです。

こういった批判から受け取れるものは実践も実践法も正しく理解できていないものに対して、自分の専門分野の知識だけで断じていく今の専門家の危うさがあります。

教科書に無い事を教科書を使って説明しようとしている。自分のやりたい事やうまくいかない事を学びたいと思った時、誰に師事を仰ぐでしょうか?

その方法を実践して成功している相手を選びますよね。成功している相手が専門家であるといえなくなってきた、むしろ専門家は教科書を眺めるだけで実情をリアルタイムに知ろうとしないので情報弱者になってしまうような時代です。

この記事があなたの思考の一助になれば幸甚です。最後まで読んでいただき、いつもありがとうございます。










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